第429回例会 ワーグナー・ゼミナール(299)

日 時:2月18日(日)18時30分~(18時15分開場)

場 所:東池袋あうるすぽっと会議室B

     東京メトロ有楽町線 東池袋下車6,7番出口正面ライズアリーナビル3階

講 師:岡田安樹浩(慶應義塾大学ほか講師・音楽学)

テーマ:《トリスタンとイゾルデ》における螺旋(らせん

ワーグナーは《トリスタンとイゾルデ》を〈前奏曲〉から作曲し始めた。作品全体の音楽的根源といってもよいこの〈前奏曲〉の音楽は、各幕においてブロック単位で、ただし変形や加工をともなって、いくども再現される。そもそも、〈前奏曲〉冒頭における半音階上行と下行のモティーフとその衝突が生み出す、いわゆる「トリスタン和音」についても、3回の提示がそれぞれ微妙に異なっており、音楽の絶え間ない変容は《トリスタン》の音楽的発想の原点である。
聴衆は、あの印象的な冒頭の音楽が劇中で回帰・再現されるたびに最初に連れ戻されるが、それらは決して同一ではない類似の音楽である。円環(リング)状に思える音楽は、実は螺旋(らせん)状に進行しているのである。そこで今回は、この「螺旋」をキーワードに《トリスタン》の音楽を読み解いてみたい。(講師記)

参加費:協会員1000円(ユース会員無料) 一般2000円 学生1000円